『んじゃあ…成田先生

稲葉を寝かせて…ってやること分かってるよね?』


「まあ…一応」


『じゃあ頼んだ。

一応アイツは成田先生の患者だからね』


私は頷き、稲葉さんのもとへ歩いていく。

近づくにつれてドキドキを増す心臓は果たして、稲葉さんの担当をつとめられるのだろうか。



『お?!やっと来た~

さて、どのベットかな?
結衣せんせ?』


これは、なんだろうか。

なんで津川さんはずっと、ニヤニヤ顔なんだろう。



「ここで…お願いします」

津川さんがいるところからベット1つ分あけたところに稲葉さんを寝かせる。



『まさかなぁ~…

僕自身がここに寝るとは思ってなかった』


苦笑いで稲葉さんは呟く。


そんなこと言ったら私だってそうだ。


まさか、自分が入院して手術までするような怪我をするとは思ってなかった。