『こんにちは~』
次の日の11時
いつものように津川さんの補助をしているとあの声が聞こえた。
振り向くと案の定
「稲葉さん…!」
がいて。
『自分で来てみた~
いや、懐かしいね、まったく』
なんて言いながらベンチに座る稲葉さん。
その様子が慣れてる感丸出しで。
そしてその稲葉さんの周りには人が集まる。
どうやら稲葉さんの受け持ちだった患者さんらしい。
まあその他にも先生方もいるけどね?
稲葉さんはその中心でニコニコと笑っている。
稲葉さんの笑顔には人を惹きつける力があるらしい。
『成田先生 見とれすぎです』
耳元でニヤニヤ笑いながら囁く津川さん。
意地悪だ。意地悪すぎる。
「すみません」
と、素直に謝り向き直る。
ただ、意識だけは稲葉さんに集中したまま。
どんだけ好きなんだ、私。