さすがに、この質問にはすぐに答えを出すことができなかった。
『生きるって楽しい?』
こんなことを聞かれることなんてない、って思ってた。
きっとそれは誰でも思っているだろう。
生きるって楽しい…?
楽しい…かなぁ…
「私は…楽しくない。
イヤなことばっかり。
辛いことばっかり。
今すぐにでも…私はここから、消えたいよ…」
私は驚きを隠すことができなかった。
それは莉巳ちゃんの口から放たれた言葉のせいだけじゃなく、
莉巳ちゃんの左手首に見えた無数の切り傷のせい。
この子…リストカットの常習犯…なの?
「ここにはね、先生以外の先生…他にも来るんだよ。
まず整形外科の先生。
この足、診るためにね。
あとは精神科の先生。
リストカッターなんだ、私。」
そう言って莉巳ちゃんは手首の傷を見せた。
私には、言葉なんて見つからなくて。
どうすればいいのか、分からなかった。