「津川先生…莉巳ちゃん、どう思いました?」

リハビリ室へ戻る廊下で口を開く。



『どうってどう?』

質問したのに質問で返される。


でもおかまいなしに私は言った。



「なんか…中学生らしくないなぁーって。

ずっとぼーっとしてて。
私の中学生時代と全然違うような気がして。」


そう言う私に津川さんは笑う。



『だから俺は、結衣ちゃんの患者さんにしたんだよ』



…………?

え……??

なに…?

その話は…??


私の頭の中にいっきにハテナマークが浮かぶ。



『あのね、患者さんの中にはいろんな人がいる。


結衣ちゃんみたいに元気で明るい人もいれば

そうじゃない人もいる。


だからあの子を担当すれば、いろんなこと勉強できると思うんだよね』


津川さんはニコッと笑ってそう言った。



そういう意味…か。

なるほどね。


津川さんは最初から知ってたんだ。

莉巳ちゃんがあんなふうになってること、知ってたんだ。



『あの子の笑顔を取り戻せるのって結衣ちゃんだけじゃないかな、

って俺は思うんだよね』