「あと5回ですよ~
頑張って下さいね!!」
笑顔を振りまき、おばあちゃんに声をかける。
もしかしたら笑顔が引きつっているかもしれない。
でも、これは仕事なんだ。
プライベートを持ち込んじゃいけない。
そう自分に言い聞かせ、必死で笑顔を浮かべていた。
『結衣ちゃん、もういいよ
休憩…してきな』
と、そこへ津川さんに肩を叩かれた。
え?と、言って振り向くと
『そんな顔じゃダメ
患者さんが不安になっちゃうでしょ?
キモチ落ち着いたら、また来て』
津川さんの言葉は私の胸に突き刺さる。
『そんな顔』
やっぱり私、うまく笑えてなかったんだ。
私はおばあちゃんに頭を下げると控え室に戻った。