『いい?
まず、患者さんを安心させるために笑顔を絶やさないこと!
笑顔だよ?笑顔!
ちょーすごい、スマイルだからね。
ス・マ・イ・ル!!
はい、どうぞ』
津川さんに言われ、私は飛び切りの笑顔を浮かべる。
『おー!
お見事!結衣ちゃん!
あ、それと患者さんの前じゃ俺のこと津川先生、って呼んでね?
それじゃ、行くよ~』
津川さんは私の返事を聞かず、病室のドアを開けた。
うわ~
ここの病室って私が前に入院してたところじゃん。
懐かしい…
あの頃となんにも変わってない。
『初めまして~
こんにちは。
理学療法士の津川です。
よろしくお願いしますね~』
患者さんは20代くらいの男の人。
ギブスは右足にアリ。
『で、こっちは今日から赴任してきた成田先生
2人で担当させてもらいますね~』
男の人は頭を下げる。
ってそう言えば私、この患者さんについてなんにも教えてもらってない!
と、今さら気づく私は相当おっちょこちょいだろう。