そのあと、津川は颯爽と帰って行った。
知らなかった。
アイツがあんなにも頼もしいヤツだったなんて。
そして、アイツのおかげで僕は頑張れそうだ。
結衣ちゃんに逢うことは、
きっと…2度とない。
それは津川も分かっていたはずだ。
それなのに僕を元気づけるために、あんなことを言うんだから驚きだ。
あの津川が気をつかうなんて。
でも、もし逢えなくても頑張ることに…成長しようとすることに意味がある気がする。
結衣ちゃんのためじゃなく、
自分のために僕は成長しようと思う。
そして、本当にいつか結衣ちゃんと逢えたとき、
僕は胸を張って言いたい。
『好きだ』
って。
だから僕は今日も頑張る。
明日も、明後日も。
いつか結衣ちゃんと逢える日を夢見て…
―Side 稲葉翼 終―