「津川さん…格好いいですね」
稲葉さんの話を聞き終えた私は尊敬の眼差しで津川さんを見つめる。
津川さんは照れていたけど、
でも、格好いい。
患者さんだから、と割り切るところも
真っ正面かぶつかっていけるところも。
津川さんを見習わなくちゃ。
『やめてよ、結衣ちゃん。
そんなに見つめられると穴が空くって』
『いっそのこと、穴空いちゃえよ』
稲葉さんがおもしろそう、と言わんばかりの笑顔で。
もしかして稲葉さんの趣味って…津川さんいじり?
『うるせぇー稲葉!
お前はさっきから余計なことをペチャクチャ喋って!』
『あれー?
さっきの馴れ初めはお前の口からペチャクチャでてきた言葉だったんだけどなぁー』
『お、お前!
いつになくうるさい!』
2人のやりとりは笑いなしじゃ聞いていられなくて。
稲葉さんと津川さんに挟まれた私は静かに笑っていた。