『こんばんわ!おじゃましまーす。』
「あずちゃん、いらっしゃい。」
玄関に入ると孝之のおばさんがリビングから出てきた。
『これ、お母さんが作ったんで良かったらって。』
私はそう言って持っていたパックをおばさんに渡す。
「まあ、ティラミスじゃない。美味しそう。いつもいつもありがとうね〜。」
『いえ。』
にっこり答える私が、お母さんに頼まれたのではなく自分の意思で来たのは言うまでもない。
「孝之なら部屋にいるから、ゆっくりしてってね。」
『はーい。』
そう言って、私は自分の家のように階段をのぼり
孝之の部屋のドアを開けた。
『やっほ!』
ベッドの上で携帯を触りながら音楽を聴いている孝之が
いきなり入ってきた私にビクッとした。
「うわ。お前、いきなり入ってくんじゃねーよ。」
見慣れたその部屋の中には、今流行りのバンドの曲が静かに溢れていた。