「あ…どうも。」


そう言ってあずは俺の姿を見た。




『おばさんに…あず一人だからって頼まれて…。』



あずと幼なじみで良かったと心から思った。

俺もあずももう高校3年生だけど…

幼なじみってだけで、あずの両親には俺はたぶん好かれているし、俺の両親もあずを好いてる。


家族同士が仲が良く信頼しきっている関係は
俺の恋心には有利だった。

だけどあずは俺の決心も知らず言う。

「うん、だけどね…一人で大丈夫だから!いいよ、帰ってくれて。」





まじかよ。

断ることねーだろー。
俺はなんとか粘ろうとする。

『でも俺、一応頼まれたわけだし…しかもおばさんに駅前の店のケーキまでもらっちゃったし……』




「まじで!?」








本当はケーキよりも何よりも
今日という時間を逃したくなかったんだよ、あず。






あずは申し訳なさそうに俺を家に入れて、

一緒におばさんが作ったカレーを食べた。

あずのおばさんが作る料理はいつも絶品で昔から好きだった。