そんな小さな夢の芽生えとなった次の日には、もう砂場に昨日作ったお城はなかった。

誰かが壊してしまったのだろう。



あずは大泣きしたね。



だけど俺は嬉しかったんだ。
あずがそれだけ理想を描いていたこと、その中に俺が一緒にいられたこと。

だから俺は言ったんだよ。


『俺が本物のお城に住ませてあげるって言っただろ?だから泣くなよ、あずちゃん』









――ピーンポーン


俺の人差し指が緊張でかすかに震えていることに気づいた。



大好きな女の子と二人きりになることに緊張してる俺。

だって、あずだけだから。
こんなにドキドキするのは。




今日は逃げずに
ちゃんとあずに打ち明けよう。

自分の気持ち、ちゃんと言おう。





あずは何て言うだろうか。
驚くだろうか。


もう気持ちは透の方へいってしまってる?








胸の高鳴りを抑えながら待っていると、

玄関の扉が開いた。