あずの家に向かう時、
小さい頃のことを思い出した。
俺とあずがまだ幼稚園に通っていた頃。
あずは公園の砂場で砂のお城を作りたいと言い出した。
大人からして見れば単なる砂のかたまりに過ぎなかっただろうけど、俺はあずを喜ばせたい一心で手伝った。
「あずね、大きくなったらこんなお城に孝之くんと住みたい。」
あずはもう忘れただろうか。そんな昔のこと。
『じゃあ俺が住ませてあげるよ。』
俺は覚えてるよ。
笑われるかもしれない。
今のあずにはもっと違う理想があるだろう。
だけど俺はそんな小さな頃のあずとのやりとりを忘れたくなくて
いつしかあずと一緒に暮らしたいって願いが俺のでっけー夢になってたんだ。
なあ、あず。
不器用な俺でも
あずとの関係だけは壊したくないし、あずだけは大事にしたい。
あずは他とは違うんだよ。
わかる?
特別なんだ。