いじわるっぽい口調で孝之が言う。

『したけど…あれは…不意討ちだったんだもん…。』


「…ファーストキス…?」



『うん…昨日…奪われた。』



私が笑ってそう言うと孝之も困った顔で笑う。


『でもさ…孝之だって私のこと言えないじゃん…キスどころか色んな女の子とさ……』




拗ねる私の頬に孝之の大きな手が触れる。



「ごめん…そうだな…。俺……恋愛ってどんなのかよく分かってなくて…。
ただ言えるのは…あずは本気で好きなたった一人の女だよ。」







ずっと


そんな夢みたいな言葉を待ってた。

孝之の心は離れてなんかいなかったんだね。



不安だった気持ちや
今までのたくさんの嫉妬も


スーッと消えていく。





『私だって……孝之だけだよ…ずっと。』






だから、透くんとはキスしちゃったけど私の中では孝之がファーストキスのつもりだよ。






私は愛しくて愛しくて、ただ孝之を見つめた。