「嘘じゃないよ。ごめん、いきなりキスして。あずちゃんが俺のこと好きとかで言った言葉じゃないのはわかってる。だけど嬉しくてつい……」






初めてのキスだった私には受け入れる余裕も抵抗する隙間もないほんの一瞬のことだったのに



キスなんてものは
“つい”できてしまうくらいのものなんだろうか。




私が透くんの背中を見つめながら黙っていると



「でもあずちゃんが好きなのは俺じゃなくて孝之だもんな。ごめん。」




透くんは言う。








『…え………っと…、なんで知って……?』




透くんは振り返り笑って答えた。

「好きな人の顔見てたらそんなことくらい分かるんだよ。」





私は孝之を見ていても孝之のこと何もわかんないよ。




「でもあいつは掴めないとこあるからなあ。あずちゃんは幼なじみなんだし、まぁ………頑張れよ。」







キスされて、告白されて、応援された。


よくわかんないけど、透くんの優しい笑顔に感謝した。