備え付けのシャワーのところでは、桜庭紅蓮と小名木和幸が頭を洗っていた。

「なあ、桜庭さ」

「なんだい?」

「お前さ。タイプで言うならだれ?」

「小名木くん、僕は不用意な発言で死にたくはないんだけど?」

それは、下手をして衝立の向こうから〝十剣翼〟が飛んでくるのは嫌だ、と含んでいる。

へっ、と和幸は笑った。

「べっつにいいんじゃね? 先に言うならよ、俺はやっぱおっとりしたお姉さん系とかいいよな。なあ賢一」

「あ、え?」

いきなり振られてあせるヘタレくんである。

「……ヘタレ」

気に入りませんか。

「だ、誰もヘタレなんて気に入らないよ……」

でもみんなの認識上、君はヘタレですよ。

「うぇ、そんな……」

「誰と話してるんだい、君? 独り言はおかしいよ」

桜庭の言及。

ヘタレ賢一は憐れである。