「つまりアナタは、生前、だれからも気にかけてもらえず、孤独に死んだ……そうですね?」

死に際を訊ねると霊は動揺しそうなものだが、彼女はそうでもなかった。

―― ええ私、あまりにさびしゅて……山へ行って帰ってこなければ、里の方々も心配してくださるかと思ったのですが、そうでもなく ――

「そのまま、ここで?」

―― 首を吊りましてございます。けども、死にきれず ――

気にかけてもらいたいがゆえに孤独になり、孤独になったがゆえに気にかけてもらえなかった。

楓は、憐れさに胸が潰れそうである。

―― まだこれからも、永遠に気に留めてもらえぬと思いましたが……ああ、ほんに今日は吉日にございます。私に気付いた方がお二人も……さらにそのうちのひとりはこうして私と会話まで。貴方は私にとって天女にございます ――

「……すみませんが」

と、楓は口を挟んだ。

「今日、私以外にアナタと接触した人がいるんですか?」