上江が継いだ。

「実は裏山に、霊が出るという噂があるのです。それは野々村くんの情報によると、無念のうちに死んだ女の霊であると」

幹が顎に指をやった。

「ふぅん。つまり、じゃあみなさんは、自殺はその霊のせいだって言うんですね?」

「ええ。それ以外に考えられないではありませんか。恐らく、霊が二人をそそのかし……」

うっ、と、横で浅野が顔を伏せ、あぐらを掻いている柴尾は膝で拳を握っていた。

悔しさが、見て取れる。

それはつまり、その裏山の霊に呪い殺されたという悔しさ。

「なんか、おかしくないですか?」

賢一が軽率に口を開く。度胸ではなく、鈍感さで。

「呪われたってことになるなら、その霊になにかしたんですか?」

「しっ、してねぇよ、んなもん!」

「ならば」

柴尾の反論を、一二三が睨む。

「なぜ霊に呪われた、と?」

呪われるいわれ、自殺を強要されるいわれがないのに、霊を引き合いに出すのは辻褄が合わない。

もしかしたら、『霊がいる土地』と『無理解な自殺』が、『呪い』という答えを誤算させているのかもしれない。