ぎらりと、真輝の目が光る。

「もらった!!」

「くっ」

完璧な、そして渾身のスマッシュが放たれようとする。

一二三は、それを受けるだけの体勢が取れていない。

そして、

「りゃあっ!!」

バチュキャッ――!

本気で振り抜かれたラケットの前に、オレンジボールは砕け散った。

コートに、卵の殻のようなものが、パラパラと舞う。

「……」

「……」

親子、観衆、無言。

真輝は――

「まっ……まだまだ! 勝負はついてないわよ、一二三!」

どこかから、ピンポン球を取り出した。マジックか。

さっきのミスをごまかすように、大声で。

「今度こそ、ここで白黒はっきりさせてあげるわ!」

「一二三は逃げない。来い、母上!」

「母上言うな!!」

そうして再び、熾烈なピンポンが行われる、脇っちょでは――