賢一は言われなき罪に、赤面する。

「みっ、見てませんよ!」

「んー? のわりには顔が赤いぞ?」

「け、ん、い、ち……?」

「みみみっ、見てない見てないっ、そんな見てませんからっ!」

横に座る幹に睨まれ、賢一は必死である。

なまじ透視能力さえ持つ三つ目を保有するため、疑われたらキリがない。

「はっ、まあいいさ」

と、仁は賢一からピンポン球の受け取った。

楓に、また相対する。

楓は、眉間にしわを寄せていた。

「今のサーブ、いったいなんですか?」

仁は、ニヤリ。

「なにって、聞いてなかったのか? 言っただろが、『絶対返せないサーブ』ってな」

「まさか!」

楓は気付いたらしい。

仁の高笑い。

「ははっ、魔法使いである前に魔術師である俺をなめるなよ! もうこのボールには『返せない』っていう定義が施してあるんだよ!」

「ひっ、卑怯者――!?」

そして、当然のように、ポン、ポン、とゆるいペースのボールを、楓が返せることはなかった。

ところで、そのとなりの卓球台では――