「美和!」


「ごめん。大丈夫。」


私たちのコートでバウンドしたボールが、足にあたった。


ちょっと痛いけど、大丈夫。


2セット目は、なかなかいい試合をしたと思う。


でも、相手のマッチポイント。


「あっ。」


相手の打ったボールが、私の横をすり抜けた。


「ゲームセット。」


「美和、大丈夫?」


「うん。平気。」


最後のボールを取ろうとして、足が滑った。


「行こう。あいさつしなきゃ。」


「うん。」


私は由衣が差し出した手を握った。