だって、絶対怒ってるし。


「もう一回。」


投げようとした瞬間。


誰かの手が、私の手に添えられた。


「さっきもこうされてただろ?」


それは。


龍矢の声。


ボールが手から離れた瞬間。


龍矢の唇が、私の唇に触れた。


「俺の勝ちだ。」


「何がよ?」


「あいつより、美和に多く触れた。」


そう言うと、私から離れていった。