「いってくるから。」


「いってらっしゃい。」


朝、私より早く龍矢が出かける。


玄関でお見送り。


「さびしいからって、泣くなよ。」


「泣かないよ。」


「じゃあな。」


いつものように。


私にキスをして、出かけて行った。


龍矢の口から、ホワイトデーなんて言葉、一回も出なかった。


別に、いいもん。


ホワイトデーなんて。


期待してた私がいけないんだ。


でも、去年はあんなにしてくれたのに。


今年だって、なんかしてくれるかもって思ってたのに。