その時、懐かしい声が聞こえた。

「行ってくるわ」

「気をつけろ。俺は連絡を待つ。…俺が行った方がいいんじゃないか?」

「私が行くの。最初にあの子の顔を久しぶりに見るのは、あたしじゃなきゃ」

笑ってる、クソババアの声。

懐かしいなんて、思いたくもない声だったのに…

あたしは…。

ガチャ、扉が開くと同時に、ババアが出てきた。

逃げれば良かったのに、あたしは逃げなかった。

「…み…」

心底驚いたような顔。

「美…香」

あたしは…




泣いていた。