「出よ」
……
嫌んなった?
あたし引かれても良かった。引かれてもいいから聞いてほしいと思った。
でもやっぱり、敦志には…!
敦志はあたしの手を引いて代金を支払い終えると、そのまま店を出た。
「最初に一つな、引いてねえから大丈夫」
「……え」
「うーん…あ、あそこでいいや」
敦志はあたしの手をぐいぐい引っ張って、路地裏に出た。
誰もいない、静かな所。暗いけど。
「美香、泣きそうな顔してたから」
「…泣かね」
「人前で泣くとか、絶対嫌なタイプでしょ?」
「だから…」
「美香」
ふわっ…
小さな、風が…
空気が、揺れて…
あたしは…