−プルルルルルル...

また、携帯が鳴る。

液晶には『クソババア』の文字。

…出るか。

…出まいか。

「もしもし」

出た。

『あんたっ…何してるの?!どこに居るの!早く帰って−…』

「一人旅」

『…は?』

「一人旅に出てるの。金はあるし。通帳があるから。じゃあ、あたしがいない幸せな余生をどうぞお楽しみ下さい」

ピッ。

もうどうでも良かった。帰る気なんてさらさらないし。

だけど少しだけ…

部屋のベッドが恋しくなった。