ポツーンと

二人残ったあたしたち。

ポカーンと

女が見えなくなった後も帰って行った方向を見つめるあたしたち。

ア然。

「…あー…美香…」

「…何」

「俺今の今まで知らなくてだな…」

「…で」

「いや…つーか…ゴメン…」

「…何が」

敦志が知らなかったのは解る。

相当焦ってるもん。

焦ってる上にア然っていう、まさに曲芸。曲芸なみ。

「別にお風呂入ったとか小さい頃だろうし気にしてないけど?」

「うんまあ…うん、そうじゃなくて…」

「いつまで驚いてんのこの鈍感馬鹿が」

敦志は黙ってしまった。

言い過ぎた?

ていうか…何をそんなに言いたかったのかな。

「何があっても美香一人だから」

「……はい?」

「美香だけだから。不安にとか、させねえから」

真っ赤な顔に手を当ててる敦志がすごい可愛く思えた。

「わかってる」



そんな事。



「解ってるよ…あの女に敦志渡したりしない」