何で、こういう事になってんの…?
今の状況。敦志の右側に女がくっついて、左側を離れて歩くあたし。
たまに女に解んないように、『こっちこい』ってやってくれてるけど…
女がくっついてるし。ハーレムの一員みたいで、嫌だから、わざと解んないフリをした…
唯一の救いが、敦志の呆れるのと疲れるのとが混ざった顔。
嬉しいなんて事は、ないんだななんて、思う。
ていうかいつもの道だし…このままじゃあたしの家じゃん。
この女にあたしの家、教えたくない。
「ここでいい」
「え…は?」
敦志がくっついてくる女を剥がしながらあたしを見る。
あたしこんなナリだけど、根っからの不良じゃない。
だけど、根性は据わってる。
「その女にあたしの家知られたくないんだよね」
あたしの言葉に、二人とも目を円くする。
「な、何この女ーっ!!あっちゃん、最低だよこの女!」
てめえは黙ってろ!!!
「…最低とか言うな」
敦志が本気で女を離す。
「美香は最低なんかじゃねーぞ」
……いやいやいや。
今のあたしの言葉は、最低だと思うんだけど…。
でも、嬉しい。