「…嘘」
女は、多分薄々気付いていたんだと思うけど、それでも驚いた顔をしていた。
そりゃそっか。
昨日まで『脈アリ』なんて自分で言ってたぐらいだから。
不思議と可哀相なんて感情が湧いてこない。
それはきっと、この女がタチ悪いって事、解り始めてるから。
「だからずっと、告白断ってたんだあ」
「…まあな」
「ふぅん…」
さっきあたしが睨み返したからそれが怖いのか、女はこっそりとあたしを盗み見した。
ジロジロ見るな。マナーってもんがねえのか。
思わず口に出そうになる。
どうやらあたしは嫌いな奴はとことん嫌いになるらしい。
「あー…俺ら、もう行くんだけど」
敦志がきゅっ、とあたしの袖口を掴んで寄せてくれた。
それを捕らえた女の目が光った気がした。
相当好きなんだな。
なーんか。すごい嫌な予感する。