「俺の好きな奴は美香だけだ」
そう言って、ポン、と頭に手を置いてくれた。
キュン…としてしまう。
「…あたしの好きな奴も敦志だけ」
言った後に、恥ずかしくなる。
だから照れ隠しに、
「…かも」
って言っといた。
「、かもって何だよ!浮気かよ!」
冗談だって、解ってるくせに。
「美香が他の奴のとこに行っても」
「…?」
「意地でも取り行って俺んものにするけどなぁ!」
ニカッと、少年のような笑顔を向けられる。
「…物じゃねえし」
「わぁってるよ」
来なきゃ良かったって、思った。
でもこの結果は、来て良かったって、思った。
恥ずかしくて、意地っ張りなあたしにはできないけど。
好きって言って、思いきり敦志の胸に飛び込みたい気分。
好きって、大きな声で言いたい気分。
とにかくこの気持ちが、ドキドキでいっぱいで、胸に収まりきれないかもってくらいで。
敦志にそれを伝えたいって、思った。