「よろしかったら姿を見せていただけませんか?」

初めて聞いたあの方の声は、笛の音をそのまま声音に変えたようにうっとりするほど素敵な響きを持っております。

私は真っ赤になってしまって、思わずまた、喋っていました。

「すみません。姿をお見せするわけにはいかないのです」

不自然と思われるかしら。
気味が悪いと思われるかしら。

まさか、もうここに来ていただけなく……なる、とか?

いや、それはいや。

私の心臓は、今度は甘くなく、ひたすらぎゅっと辛いほどに痛みました。