新入生部活歓迎会があったが4人は空手をやっていたので参加しなかった。

4月も終わりに近付いたある日の放課後、4人は帰路を歩いていた。

「あれ…心さんじゃない?」

「あ…本当だ。」

そんな声が聞こえてきたかと思えば、たむろしていた男達数人がこっちへ歩み寄ってきた。

「心さん!!」

心は思い出したように答えた。

「あっ…郁人の仲間の…どうしたの?」

「実は…郁人さんの葬式をやりたいんです。」

意味深な言葉に心は理由を聞いた。

話はこうだった。

郁人が亡くなったのは去年の12月26日。

郁人が一緒に暮らしている親戚の人が郁人の死を知ったのは翌日だった。

そのため郁人の体はすぐに火葬したが、自殺した郁人のために葬式を挙げるのは、葬式に呼んだ人々から何て言われるかわからないから挙げないというのだ。

世間体ばかり気にする親戚の人だから、郁人が朝帰りをするようになった頃からほとんど口を聞いていないと言う。

「心さん、協力してください!!」

必死に頭を下げる郁人の仲間。