「心…」

心の母親が声をかけた。

心は窓の外を見ながら言った。

「私…本当にばかだ。郁人が残してくれた赤ちゃんさえも守れなかった…。」

「心っ!!」

心の母親が心に抱きついた。

美紗と凌空と凌生は病室を出た。

2週間後、傷跡もすっかりなくなり、心は学校に来た。

「おはようっ!!」

「心、もう大丈夫?」

美紗が聞く。

「うん!!さ、勉強勉強!!」

そこにいたのは、3年近く見失っていた心の笑顔だった。

しばらくするとすぐに試験日がやってきた。

受験当日、周りの受験生がピリピリしている中、心達は笑顔だった。

受験を終えると卒業式がやってきた。

心にとって郁人との思い出が大きな場所。

心は郁人と出会った時のことからを思い出していた。

さわやかな風が吹く中、卒業式は終わった。

卒業式の日は高校の合格発表と重なっていた学校が多かったため、多くの生徒が自分の受けた高校へと足を運んだ。

もちろん心たちも。

4人は無事、合格していた。

春の風が吹く中、4人の新しい生活が始まろうとしていた。