この2人の夜のことは後から心から聞いたことです。

「心、今まで色々ごめんな。」

「郁人、謝らないで。郁人だから好きになったの。」

「心…」

2人は一つになった。

この日は2人とも幸せな気持ちで一つになれた。

幸せなまま、2人が一つになれたのはこの日が最初で最後だった。

そのまま朝を迎えた。

心が目覚めると隣にいたはずの郁人がいなかった。

「郁人…?」

心は居間へ行くと母親に聞いた。

「郁人は?」

「郁人君なら、朝早く出てったわよ?」

「ふうん…。」

帰ったんだと思い、心は部屋へ戻った。

「あ…手紙…。」

心はポケットから昨日郁人からもらった手紙を取り出して、読み始めた。