「心臓病…?」

心が風邪をひいたので病院へ連れて行った矢先の事だった。

戸惑っている心の母親をよそに医師は続ける。

「そんなに心配するほどではないと思いますが、これから先、どうなっていくかはまだわかりませんから。未来のことを考えて、薬を服用していってもらいます。」

「心臓移植とかは…。」

「お母さん。心ちゃんは心臓移植をするにはあまりに幼すぎます。時期を見て、必要だと考えたら決めましょう。今すぐどうこうとかではありませんので。」

医師はそう告げると部屋を後にした。

点滴室で点滴を受け終わった心が走ってきた。

「ままっ!!」

母親は心を抱き上げると心の胸に耳をあてた。

トクン…トクン…

心の心臓が脈打つ音が聞こえた。

生きている証。

「まま?」

「心、頑張ったね。注射、痛くなかった?」

「だいじょぶ!!ここ、つよいもん!!」

「そっかあ。じゃ、帰ろうか。」