「心…」

そう、心は郁人から暴力を受けていた。

郁人は心が自分以外の人を大切にしたり、一緒にいたりすると心を傷つけていた。

「大賀っ…!!」

凌生はもう一度声を荒げた。

そして郁人を殴った。

「やめてっ!!」

駆け寄ってきたのは心だった。

「心…?何で庇うんだよ!!」

心は泣きながら答えた。

「郁人が…好きだから…。」

凌生は言葉を失った。

心は本当に郁人が好きだったのだ。

美紗は腕を押さえながら言った。

「心、これは恋じゃないよ?あんたは恋を知らない…」

「私にとってはこれが恋なの!!殴られてもひどいことをされても郁人が好きなの!!」

心は強くそう言い放った。

「心…。」

郁人はそう言うと心の手をなで始めた。

「ちゃんと想われてたんだな。ごめんな…心…。」

「郁人は悪くないよ。」

心は郁人の頭を自分の胸に押し当てた。