「…役に立たぬ私に代わって、尚侍殿が身ごもってくださったのです。

どうして辛いだなどと思いましょうか。」


そう申し上げれば、いつもの瞳をなさって

「それならば、何故こんなにもお顔の色が優れず、お体も細くなっていらっしゃるのです?

一人で…耐えていたのでしょう…?」

そう仰って、声を抑えて泣かれます

嗚咽をこらえきれないように泣く東宮様を見るのは、初めてのことでした…

「おめでたいことですのに…そのようにお泣きになって…」

そう言いながらも、私は東宮様のお胸の中で涙を流しました


東宮様のぬくもりが…お心の誠を我が身に知らしめてくださいました