―平常心を保って、東宮様のご寝所へ入ります。 待っていたように「女御…」と仰いながら東宮様がこちらへ歩いて来られます。 私が顔を上げると、はっとしたようにその場で止まってしまわれました。 悲しいお顔をなさったかと思うと、次の瞬間私は東宮様の腕に包まれていました。