「ご自分の子もお分かりにならないとは、情けないことですわ。」

私がからかうように申し上げると、お顔を上げてこちらをご覧になり、私の腕の中にいる若宮を注視なさいました。

急いで立ち上がってこちらにいらっしゃいます。


「私の子…」


ぱっちりと目を開いて父君を見つめる若宮を、尚仁様もじっと見つめます。

「抱いてあげてくださいませ。」

私がそう言うと、おずおずと両腕を差し出されます。

若宮をお抱きになった尚仁様は、ただひたすら若宮を見つめ、若宮はにっこりと笑いました。

その純真無垢な笑顔を見た尚仁様は、涙を一滴落とされました。