「そんな…」

袖口で口元を覆っていますが、それでも愕然としている様子がさまざまと見られます。

気まずく申し訳ない思いがして目を逸らしていると、すっと乳母が立ち上がり、部屋から出て行こうとしました。

「どこへ?」

少し声を張って問いかけると、乳母は涙をいっぱいに溜めた目で私を見つめて

「帝の御下へ参ります。」

と言いました。