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嘘は続いた。

健太郎は気づかない。

当たり前か。


あたしは今日も残業って嘘を吐いて、いつも行くパスタ屋さんのいつもの席でパスタを食べて小説を読みながら食後のコーヒーを飲んでいた。



さっき、お客さんが入って来たみたいでお店が賑やかになった。


あたしが座る席からは店内は見渡せない。


すると本に影が映った。


『…健太郎…』


顔を上げると健太郎が立って居た。


『真理…ちゃん?』


あ…どうしよう。
あたし、今日残業してる事になってんのに…

言い訳が…


『一緒に帰ろっか?』


健太郎はそう言うとレジであたしの会計を済ませてくれた。


手を引かれてお店を出た。


アパートまで会話はなかった。


何を口にしても健太郎を傷つける言葉しか出ない気がしたから…。