「えっちょっと大丈夫?」


思わず声をかけてしまった。


すると彼女は、バッと俺を見上げて、目をカッと見開く。



「すっ、すぱいの人!!!すぱいの人だ!!!!」





はい……?スパイ……?





「えっ何言って…」




「あーすいませんっ。貴方はスパイの人だけどスパイの人じゃなかったわね。」





ますます………は?



田口さんはそう言うと、
俺の横を通りすぎて行ってしまった。



どこいくのかな。こんな夜中に。







って思ったらすぐそこの自販機の前に立ち止まる。




だけど何も買わずにまた戻って来た。




なにしてんだこの子。