ジリリリリ!! けたたましく周囲に響く、アラーム音。 「うわっ、鳴ったか‼︎」 盗難防止システム、全部解除したと思ったのに‼︎ でも、目的のものはもうこの手の中にある。 人が来る前にこの場から逃げるなんてお茶の子さいさい。 左手に持つ黒いステッキの先を、地面に軽く打ち付ける。 「もう二度と、怪盗に“入られる”ことしちゃダメだよ」 ぶわりと空中に舞う桃色の大きな花びら。 ひらひらと床に落ちていく、その花びらの上に残すのは……。