「ったく、めんどくさいなぁ」
愛しそうな声が聞こえてきたかと思ったら、温かい腕に包まれていた。
冷えた体に伝わる温もり。
私、まるでチョコみたい。
甘くてとろけそうな彼の腕の中。
私は静かに身を委ね、鼓動を感じた。
「とりあえず俺の夢、叶えて?」
「夢……って?」
耳元で囁く彼の甘い声は私の体中を支配していく。
「俺の隣で音を奏でて。ってちょっとくさいかな」
……部長。新商品の顔に手を出してごめんなさい。
だけど私、彼に惹かれる気持ち止められそうにないみたい。
「ありがと」
失いかけていた気持ち、取り戻せたのはあなたの言葉だったね。
思い描いた夢――。
これからも叶えていきたいと思うよ。
だから一緒に奏でていこう、愛のあるメロディーを。
築き上げていこう、思い描いた夢を――……。
【END】