口伝えでは嘘をつく意図がなくとも、誤解を招く可能性もある。私はダスレイン大臣の動向については、誰にも任せることなく、自分の目で見て確認するつもりだった。
「いや……なんというか……もう良い……その、現状把握とやらが終わったのなら、俺に熱いお茶でも淹れてくれないか」
「あら! 失礼しました。少しお待ちくださいね」
ウィリアムの住む離宮に居る使用人は、夜になれば誰も居なくなる。
だからこそ、小説の中のヒロインキャンディスは誰にも見られることなく、彼と交流出来た訳だけれど……立太子の儀式の日は帰りは深夜になるというのに、誰も待っていないのね。
……不便だわ。
不当な扱いを受けているウィリアムの姿を見て、私はやはり、どうしても不満に思えてしまう。
彼は王位を受け継ぐ王太子なのよ。国中で一番に贅を凝らした生活をしていても、全くおかしくないのに……ダスレイン大臣の陰謀さえなかったなら、彼の人生は大きく変わっているだろう。
「はい。どうぞ」
「ああ。ありがとう」
「いや……なんというか……もう良い……その、現状把握とやらが終わったのなら、俺に熱いお茶でも淹れてくれないか」
「あら! 失礼しました。少しお待ちくださいね」
ウィリアムの住む離宮に居る使用人は、夜になれば誰も居なくなる。
だからこそ、小説の中のヒロインキャンディスは誰にも見られることなく、彼と交流出来た訳だけれど……立太子の儀式の日は帰りは深夜になるというのに、誰も待っていないのね。
……不便だわ。
不当な扱いを受けているウィリアムの姿を見て、私はやはり、どうしても不満に思えてしまう。
彼は王位を受け継ぐ王太子なのよ。国中で一番に贅を凝らした生活をしていても、全くおかしくないのに……ダスレイン大臣の陰謀さえなかったなら、彼の人生は大きく変わっているだろう。
「はい。どうぞ」
「ああ。ありがとう」



