もちろん。私は前世知識という彼から見れば異常なチートを手にしているから余裕を持ってそんな光景を見ていられるのかも知れない。
「おい。何が見えるんだ?」
ウィリアムが近づいて来たので、私はオペラグラスを渡した。
ダスレイン大臣は、まさか自室がこんな風に覗かれているなんて夢にも思っていないので、黒い影がわかりやすく暴れ回っているのが良く見えるはずだ。
何かに失敗したとて、怒ったり落ち込んだりは、せめて、邸に帰ってからにするべきだと思うわ。
ましてや、自らの職場で人や物に当たり散らすなどと……悪役の名に相応しいとても見事な暴れっぷりだけれど。
「ダスレイン大臣も自分の企みが上手くいかないからって、冷静さを保てないなんていけませんね」
「は? あれは、ダスレイン大臣なのか? あの、暴れ回っている賊のような影は。おい。あいつ、何かを割れた窓から投げたぞ」
あの影の正体が、彼を恨む賊の方がまだ良かったかも知れない。
大臣本人が暴れ回って、執務室を半壊させているなんて、とてもではないけれど笑えないもの。
「おい。何が見えるんだ?」
ウィリアムが近づいて来たので、私はオペラグラスを渡した。
ダスレイン大臣は、まさか自室がこんな風に覗かれているなんて夢にも思っていないので、黒い影がわかりやすく暴れ回っているのが良く見えるはずだ。
何かに失敗したとて、怒ったり落ち込んだりは、せめて、邸に帰ってからにするべきだと思うわ。
ましてや、自らの職場で人や物に当たり散らすなどと……悪役の名に相応しいとても見事な暴れっぷりだけれど。
「ダスレイン大臣も自分の企みが上手くいかないからって、冷静さを保てないなんていけませんね」
「は? あれは、ダスレイン大臣なのか? あの、暴れ回っている賊のような影は。おい。あいつ、何かを割れた窓から投げたぞ」
あの影の正体が、彼を恨む賊の方がまだ良かったかも知れない。
大臣本人が暴れ回って、執務室を半壊させているなんて、とてもではないけれど笑えないもの。



