【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 誰かを理由なく虐めているなら、同じようなことを好むような下劣な人たちにしか、そんな行動は認めてもらえないわよ。

「わかった。好きなドレスを買うと約束する……そろそろ帰ろうか」

 ワインで汚れてしまったドレスで、舞踏会の会場に居るわけにはいかない。私たちは周囲の貴族に礼をして離宮へと帰ることになった。

 私は離宮に帰ってすぐ、ここに置きっぱなしにしているお父様のオペラグラスを持って窓際に立った。

「ふふふ。これで、全て上手く行きましたね。ウィリアム様」

「……確認のため聞いておくが、今、お前は何をしているんだ。モニカ」

「現地確認です。物作りの現場も人材を使う仕事も、何事も現場が命なんです。この目で確認することが何よりも大事なのですよ」

 私はオペラグラスを向けた先、執務棟の中のダスレイン大臣の部屋を見ていた。

 私たちが貴族たちと歓談し、仲睦まじい様子を見せていたせいか、以前より多くの窓は割れ暴れ回っているようだった。

「あらあら。思惑と違ったから、執務室の中のものを破壊ですか……? いけませんね」