【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

「っ……それは」

 『ウィリアムが相手だからって、別に向こうが特別扱いしなければならない』という訳ではないと、私はチクリと言ったつもり。

 だって、ウィリアムは王太子で、次の王位継承者。

 現王の血を引く、一番最初の息子。それは、揺るがない地位であるし、彼がたとえ冷遇されていても変わらない。

 それは変わらないけれど、オブライエン一家を動かすには、次の王であるだけではいけないのだ。

 オブライエン一家が何か自分たちに強要するシュレジエン王国を気に入らないならば、出て行けばそれで良いだけなのだから。

 ウィリアムには王族として、いいえ、王太子としての高い矜持があったとしても、それは彼らには関係ない。

「ですので、私たちは彼らを尊重し誠意を示して、警戒心が緩むことを待つしかありません。何度も何度も通っていれば、どんなに厳しい態度の人でも、それなりに親しみが湧くものです。いつか油断してなんらかのヒントが聞けたなら、そこから切り崩していけば良いのです」

「……わかった。モニカの言う通りにするし、俺も彼らの意志を尊重する」