タクシーを降りると


まだ肌寒いけれど


真冬の、針を刺すような寒さではなくて…


春が近付いて来ているんだと感じる、


そんな風が吹いてきた…




−−−ガチャッ−−−
仁君がアパートのドアを開ける。


あきな;…お邪魔しま〜す…


なんとなく小さな声で話す。


仁;汚いけど、あがって!!



仁君の部屋は、

玄関から真っ直ぐ廊下が部屋に向かって伸びてあり…
左手側に洗濯機とキッチン
右手側にトイレとお風呂があった。


綺麗とは言えないけど
汚くもなくて


全く『男臭さ』を感じなかった。


部屋に入ると、6畳くらいの広さで
ロフトがついていた。


…どうやら仁君はロフトで寝ているみたいで…


6畳間には、コタツやテレビに本棚,親から送られて来ただろうダンボール、取り入れたままの洗濯物があった。



仁;そこら辺に座って!
あきな、何か飲む?まぁビールかお茶しかないけど…。


アタシはコタツの側に正座しながら,


あきな;お茶…ちょうだい。


と答えた。今でさえ、思考回路がぐちゃぐちゃなのに…


もっと飲んだら大変なことになる…。


うぅん…もう飲んでも飲まなくても、大変なことになってるんだけど…。