仁君はアタシに何を望んでいるの?


そしてアタシは…


仁君になにを望んでいるんだろう。





−−−静かな車内、


タクシーの運転手さんすら…

何も話さない。


少しずつ、仁君のアパートが近付いて来る。

仁君のアパートの手間に駅があって…

踏み切りに引っ掛かった。ここの踏み切りは、一度閉まると開くまで時間がかかると有名だ。−−−




目の前の線路を、電車が爆音をたてて勢いよく走りぬける…


その音と共に…


仁君の唇が、

アタシの唇を塞ぐ…




呆然としているアタシから、仁君は唇を離し…



今度は反対方向に走って行く電車と共に…


また唇を近づけてきた…。


2回目のキスは、さっきよりも深く…深く…

とても優しくて…

またアタシは

『慣れてるなぁ』…なんて考えながら

仁君の滑るような舌の動きに…


翻弄されていた。