その日の夜も…仁君は変わらずバイトに出掛けて行った…。


心細いし、お腹は痛むし…


とても笑顔で送り出す気持ちではなかったけれど


布団から顔だけ出して


『いってらっしゃい』


とだけ呟いた。


仁君が出掛けた後は涙が止まらなかったけれど…


バイトだから仕方がない。そう言い聞かせて


無理矢理眠りについた。


夜中にガチャっと鍵があく音がして、


電気をつけ、


明日からの旅行の支度をしているようだったが


眠い頭で話しをして喧嘩になるのも嫌だったし、


寝たふりを決め込んだ。


それなのに、


〇〇はどこにある?


△△は持ってってもいい?


事あるごとにアタシを起こす。


終いには、


仁;服がうまく入らないから手伝って!


と…夜中の3時に…。


あきな;ねぇ!アタシ、手術の後だし!行っても欲しくない旅行の用意を…どーして手伝わなきゃいけない訳?!


仁;わかったよ!!あきなは寝てろ。


また黙々と作業を続ける。